たとえば手首を切るみたいに
文章を書くことが苦痛だ。
書いている時間より、白紙のノートに向き合っている時間の方が多い。
本を読むことも苦手だ。同じ本を何年も、最初の方のページを読んでは読むのをやめて、また最初から読み始めるを繰り返している。
小説を書くのは、わたしにとってリストカットのようなもので、痛い、苦しい、が、大半を占めているのに、そのときだけはだれかが自分を見てくれる、褒めてくれる、認めてくれる、だから続けるってこと。
わたしには才能がある。
書けばみんな褒めてくれる。
辛くてもいいし、死んだっていい。ただ、自分が自分でいられて、生きている実感が欲しい。
息をするだけで、みんなに認められる世界なら、わたしは小説を書かなかった。生きてるだけで素晴らしいなら、今はこんなに息苦しくはない。世界はそんなに優しくない。