きみは天才だ
日本武道館で、3時間かけて自分の一編の小説をワンマンライブで朗読して、それを全国の映画館でパブリック・ビューイングで上映したい。
わたしには才能がある。
そう思うようになったキッカケは、とても些細なこと、些細な言葉からだった。
「きみは天才だ」
と、昔女の子に言われたから。
他の誰の言葉よりも、わたしはその子の言葉だけを信じる。たとえそれが勘違いだとしても、死ぬときになってみなきゃ分からないし、別にどっちでもいい。
初めて人に認められた気がして、嬉しかったから、その言葉を嘘にしたくない。
「きみは天才だ」
って言われたときから、わたしは天才になった。エミネムの歌詞によく出てくる「おれはスーパーマン」みたいな感じ。
わたしは天才だから、その才能を100%発揮できるステージで表現したい。デッカい大砲持ってたら、ブッ放してみたいと思うのが自然だ。だから、いつか日本武道館でワンマン朗読ライブしてやる。
小説を書くのはしんどいけど、好きな女の子に褒めてもらえるなら、死んでもやる価値はある。モテたいとかじゃない。わたしを天才と呼んでくれる人に、ちょっと褒めてもらえれば、できればメチャメチャ褒めてもらえれば、それだけでいいんだ。
そう、もう一度言うが、わたしが小説を書く理由はとてもシンプル。好きな女の子に、「きみは天才だ」って言われたから。
もう一度褒めてもらいたいとかじゃない。
もちろん、褒めてもらえれば嬉しいけど。
最初の一回。
「きみは天才だ」
が、永久機関のエンジンみたいに、永遠にわたしを突き動かす力を持ってた。
いま取り掛かってる小説は、まだタイトルとテーマしか決まってないけど、絶対書き上げてやる。
わたしは天才だ。